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特集 |日本でインターナショナルスクールを卒業すると、どうなる? 全6回—③ —中等部編—

帰国後、日本でインターの中等部を卒業する際の注意点

「海外で受けた教育を継続できる」「英語力をもっと伸ばせる」等々、海外から日本に帰国後、我が子がインターナショナルスクールに通うメリットは数多くあります。でも日本でインターナショナルスクールに通うということは、教育制度上は、日本で外国人学校に通うのと同じこと。卒業後に向けて注意すべき点はいろいろとあります。

今特集では、そうした注意点を日本のインターナショナルスクール事情に詳しい国際教育評論家の村田学氏にヒアリング。また、日本にあるインターナショナルスクール6校に進学サポートや実際の進路について伺いました。

第3回目となる今回は、日本でインターナショナルスクールの中等部を卒業する際の注意点についてお伝えします。

初等部同様、就学義務違反にならないようにすること

 初等部同様、中等部に通う際に注意しておきたいのは、就学義務違反にならないようにすること。このことは中等部卒業後の進路にも影響してくるという。

「日本の子どもがインターナショナルスクールの中等部に通っても日本の義務教育を受けたとはみなされないため、同時に日本の公立中学校にも学籍を置くのが基本です。居住地の教育委員会の要請に従って動きましょう。学籍を置いていない場合、日本の国公立高校への受験ができない場合があります」(村田氏)。

 また、心身・学力ともに大きく成長する思春期をインターナショナルスクールで過ごすことは、子どもの将来を決定付けると言っても過言ではないという。

「中等部時代をインターナショナルスクールで過ごすと思考言語が英語になることが多く、大人になってもその傾向が強く残ります。行動や振る舞いも英語圏の文化に沿っていくケースが多いでしょう。世界で活躍する際には有効だと考えられますが、『日本人としての素養も持ち合わせてほしい』と考える場合は、家庭でも日本文化の知識や日本語・国語力を補う必要があります」(村田氏)。

 この場合、転校前の数年間も、インターナショナルスクールの長いサマーブレイク(多くは6月下旬~9月初旬)やウィンターブレイク(多くは12月中旬~1月初旬)の期間だけ公立小学校に通って、転校に備えることが多いという。

 この流れを汲み、中等部卒業後に日本の私立高校へ進む生徒が若干いるが、多いのはやはり、インターナショナルスクールの高等部へ進む生徒や海外のボーディングスクールへ進む生徒。村田氏曰く、そのまま同じ学校の高等部に進む場合は問題ないが、中等部とは異なるインターナショナルスクールの高等部や海外のボーディングスクールに進む場合には注意する点があるという。それは「系統の統一」だ。

「ご存知のように、ひと口にインターナショナルスクールと言っても、アメリカ系、カナダ系、イギリス系、IBなど、その系統は様々。学校を変更する際は同じ系統、あるいは似た系統を選ぶことで、カリキュラム内容による学習面と校風による学校生活面の両面で、子どもの新しい学校への適応をスムーズにすることができます」(村田氏)。

日本にあるインターナショナルスクールの中等部を卒業した後の主な進路はこの3通り。

日本にあるインターナショナルスクール中等部卒業後の主な進路

  • 日本のインターナショナルスクール(高等部)
  • 日本の私立高校
  • 海外のボーディングスクール

次回は、この3通りの進路における、メリットと注意点を紹介する。

お話を伺った方

国際教育評論家 村田学(むらた・まなぶ)氏

国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了した国際教育評論家で、プリスクール元経営者、幼小中インターナショナルスクールの共同オーナー。ウェブサイト「インターナショナルスクールタイムズ」(https://istimes.net/)の編集長。アメリカで生まれ、6歳で帰国して英語力を丸ごと失った、という苦い経験を現職に活かしている。

協力校(五十音順)/Aoba-Japan International School、Osaka YMCA International School、KIU ACADEMY-KYOTO INTERNATIONAL UNIVERSITY ACADEMY、Tokyo YMCA International School、Nagoya International School(学校法人名古屋国際学園)、Nishimachi International School

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