2022年度から学習指導要領が改定され、高校で必修化されることとなった「金融教育」。文科省は、その目的について、「家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること」「生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察すること」などを挙げている。
これを受けて「MMDLabo株式会社」(東京都港区)が運営する「MMD研究所」が「ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社」(東京都千代田区)と共同で、「高等学校の金融教育必修化に関する意識調査(高校生と親と教師の意識)」を実施。その結果を公開している。
今回の調査は、高校生とその親向けに、予備調査では15歳~69歳の全国の男女50,000人、本調査では高校生481人、高校生の親1,000人の計1,481人を対象に実施したもの(期間;2022年6月24日~6月28日)。高校教師向けには、予備調査では20歳~69歳の教育関係者10,000人、本調査では高校教師500人を対象に調査を行った(期間:2022年6月24日~6月27日)。
高校生の金融教育の義務化「内容についても詳しく知っている」高校生は12.7%
今回の調査結果によると、2022年4月より始まったこの‟高校生に対する金融教育の義務化”について、高校生の63.2%と高校生の親の47.1%が「知らなかった(いま初めて知った)」と回答。「内容についても詳しく知っている」と回答した割合はどちらも12%程度にとどまった。
続いて、高校生が金融や経済に関する知識や判断力(金融リテラシー)を十分に身につけていると思うかについて聞いたところ、「身についていないと思う(どちらかといえば身につけていないと思う+身につけていないと思う)」の割合は60.6%となった。
次に、高校生の金融リテラシーについて「どちらかといえば身につけていないと思う」もしくは「身につけていないと思う」と回答した高校教師303人に、高校生が金融リテラシーを身につけていないと思う理由について聞いたところ(複数回答可)、「お金や金融について学ぶ機会が今までなかったから」が38.6%と最も高く、次いで「学校の授業だけでは、補えないと感じるから」が36.6%、「お金や経済に関する知識がないと感じるから」が36.0%となった。
金融に関して「学びたい」高校生は60.3%
その一方で、今後金融に関して学んでいきたいかについて聞いたところ(高校生とその親向け調査で予備調査から高校生481人を抽出)、60.3%が「学びたい」と回答している。
次に、今後金融に関して学びたいと回答した高校生290人を対象に、今後学んでいきたい金融に関する項目について聞いたところ(複数回答可)、「適切な収入・支出の管理方法について」が52.8%と最も高く、次いで「保険の種類と必要になる金額の理解について」が52.4%、「住宅ローンやカードローンの仕組みやリスクについて」が51.0%となった。
これまで、金融に関する教育を受ける機会がなかっただけで、「学びたい」と感じている高校生は意外と多いようだ。家庭でも、親子で話し合ってみるといいだろう。
(取材・文/松井さおり)