株式会社マイナビ(東京都千代田区)は8月16日、2019年卒業予定の学生を対象とした「2019年卒マイナビ学生就職モニター調査 7月の活動状況」の結果を発表した。
そのなかで特別調査された「就活生の間で流行した『就活用語』ランキング」は非常に興味深いので、ご紹介しよう。
就活用語ランキングは下記の表の通り。
あなたの周りで流行した「就活用語」ランキング
※自由回答(1人3用語まで)
19年卒(2018年) ベスト10 |
意味 | |
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1 | ガクチカ | 面接でよく聞かれる「学生時代に力を入れたこと」の略。 |
2 | お祈り | 選考で落ちること。不採用通知の「今後のご活躍をお祈りしております」という一文から。 |
3 | サイレント | 選考の結果の連絡が来ないこと。合格なら、企業から必ず連絡があるので、不合格であることを示す。 |
4 | ES | エントリーシートの略 |
5 | NNT | 「無い内定」の略。内(々)定が無いことを「内々定」に掛けている。反意語:ANT(有る内定) |
5 | オワハラ | 「就活終われハラスメント」の略。企業が内々定を出した学生に対して就職活動を終えるよう強制すること。他社の選考の辞退と引き換えに内々定を出すことも含む。 |
7 | グルディス | グループディスカッションの略語 |
8 | 御社 | 選考受験中の企業のこと。転じて、日常から就職活動モードに入ることも指す。面接に行くことを「御社する」と表現するなど。 |
9 | 終活 | 就職活動を終えるための活動。入社予定先以外の企業に内定辞退の連絡をすることなど。 |
10 | リクラブ | 就職活動を通して出会った学生同士で恋愛に発展すること。 |
1位の「ガクチカ」はいかに面接で「学生時代に力を入れたこと」がよく聞かれるかが分かる。
2位の「お祈り」は現在よりも就活が厳しかった数年前から学生たちの間で悲壮感をもって語られてきた用語だ。
3位の「サイレント」も内定が出なかった状況を表す用語。7位「グルディス」も現在の就活におけるグループディスカッションの重要性を示している。
ランクには入らなかったものの、目新しく特徴的なものとして紹介された用語も面白い。
ランク外の中で目新しい用語、特徴的な用語
就活用語 | 意味 |
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逆お祈り | 学生から企業に対して、選考辞退などの連絡をすること。 |
お祈り慣れ | お祈り、つまり選考に落ちすぎてなんとも思わないこと。 |
神に近づく | 企業の選考に続けて落ちること。お祈りされる機会が増えるため。 |
キープされる | 企業の連絡が遅く、別の内定者が辞退した場合のために保留にされていると感じること。 |
エースネタ | とりあえず困ったらこの話をしておけば、面接官の気を引けそうなエピソード。 |
エリ総 | エリア総合職。決められたエリアで働くことを前提とした総合職採用。 |
リベンジ転職 | 新卒で第一志望に就職できなかったら転職でリベンジする。 |
赤べこ | 説明会などで頷き続ける人。 |
背泳ぎ | 説明会で真っ先に手を上げる姿。 |
非通知取れなかった | 選考後の企業からの結果連絡の電話に出られなかった。 |
選考に落ちすぎてなんとも思わなくなる「お祈り慣れ」、お祈りされ(選考に落ち)続けて「神に近づく」など、つらい現状にありながらも、自らの就活の状況をユーモアをもって表現する若者たちの抜群のセンスを感じる。
保護者は自分たちの時代とは少し異なる就活の現状の一端をこのユニークなランキングから感じ取り、まだ就活を遠くに捉えている大学1年生などの我が子には「ガクチカが大事なんだってよ」「グルディス得意にしておくといいよ」などとアドバイスするといいだろう。
株式会社マイナビHRリサーチ部の石田力さんは「就職活動中の学生は孤独感に苛まれがちですが、こういった用語を使って情報交換を行うことによって、同じ境遇にあるという連帯感を感じることができるのではないでしょうか」という。
であれば、やはり保護者も「御社してる?」とか、「お祈り慣れしちゃってる?」などと、会話の糸口にどんどん使ってみるといいだろう。
ストレスをためている就活生も、親の無理した若者用語にくすっと笑ってくれるかもしれない。
(取材/文:大友康子)