参院選に対する16~29歳の興味関心や政治への意識を調査
昨日は、高3生を対象に参院選直後に行った選挙に関する調査の結果をお伝えした。なんとアンケートに回答した高3生の95.8%が参院選の投票に行った、という結果であった。
本日は、調査対象を16~29歳と広げ、参院選前の5月下旬に選挙行くつもりかどうかなど、予定の段階で行った調査結果に着目してみよう。調査は、中高生から20代までの若者世代と政治・社会をつなぐWEBサイト「学校総選挙プロジェクト」が行った。
調査元が異なるので、単純に比較すべきでないかもしれないが、興味深いので、昨日の結果と比較しつつ見てみよう。
【「2022 年度若者の政治意識調査」の概要】
調査対象 | 全国の16~29 歳 |
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有効回答数 | 1204名 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2022 年 5 月 26 日(木)~5 月 28 日(土) |
参院選への興味、高3生の8割に比して、若者全体は4割
16~29歳の若者全体に参議院議員選挙に関心を持っているかどうかを聞いたところ、「関心を持っている」「どちらかと言えば関心を持っている」の合計は39.7%。「関心を持っていない」「どちらかと言えば関心を持っていない」の合計は60.2%となり、若者世代の半数以上は参院選に関心を持っていないことが分かった。
「参院選へ行く」割合は高校生9割に比して、若者全体は6割未満
参議院議員選挙に投票に行くかどうか、選挙権を持っていない人には、選挙権を持っている場合を想像して回答をしてもらったところ、「行くと思う」が54.4%、「行かないと思う」が19.6%、「まだ決めていない」が26%となった。関心を持っていない若者が半数を超えるものの、それでも2人に1人は選挙に行く予定であった。
さらにこの結果を参院選への関心有無で見てみると、参院選に関心がある若者の8割が「投票へ行く」との回答。一方で、参院選に関心はないが「投票へ行く」と回答した若者は3割いることが分かった。
学習意欲高いStudyplus利用者は参院選への関心も高い
実際の選挙直後と予定の段階という違いはあるものの、高3生と16~29歳の若者全体とで、参院選への興味・関心具合と投票に行く(行った)かどうかは大きく差が出た。なぜ、これほどの差が出たのか、双方の調査関係者にその原因を分析していただいた。
高3生の参院選に関する調査を行ったStudyplusトレンド研究所は次のように分析する。
「当社の調査は、学習管理アプリ『Studyplus』を通じて実施しました。任意でアンケートへの回答を求めたところ、参院選に興味関心が強い層の高校3年生ユーザーが積極的に回答を行う結果となりました。そのため、他の調査と比較しても高い投票率になったことが考えられます」
若者全体の政治への関心喚起は大きな課題
一方、ソーシャルプロジェクト「学校総選挙プロジェクト」のプロジェクトリーダー・石井大樹(いしい・たいき)氏は次のように分析する。
「従来の大学等で実施された調査からも、投票率や政治への関心と学歴とは相関があり、また家庭環境も子どもの政治への関心に影響を与えている、という結果が出されていましたが『学校総選挙プロジェクト』では今回、『参院選への関心』について、年齢だけを条件としてアンケートを実施いたしました。
その結果、学習アプリを利用している高校生の『参院選への関心』が、私たちのアンケートよりも高い傾向を見て、改めて、学習環境や家庭環境と政治への関心が関係している実態を感じました。10代と政治(選挙)を全体として考えると、政治に関心を持つキッカケや動機を持ちにくい環境にある若者に向けたアプローチが大きな課題だと思っています」
(取材・文/大友康子)