兵庫県神戸市にある「インターナショナル・プリスクールCHES(チェス)」では、ミニひまわりの種を植えて苗を栽培、チャリティバザーでその苗を販売して、売上金を日本赤十字社を通して「ウクライナ人道危機救援金」に寄付した。
昨日は、園児主体でその活動内容を決定するまでの経緯を見た。本日は、種から育て始めて寄付に至るまでをご紹介しよう。
1~2歳の園児も小さな体でジョウロを持って水やり
ひまわりの苗を育てるには絶えず水やりが必要なため、1歳半から就学前の全園児の当番表を作成。活動の方向性を決定した4月下旬からチャリティバザー開催までの2カ月間、苗の世話を続けた。
「1~2歳の一番小さいクラスの子どもたちも、本当に頑張って水やりしていました。それをバックアップする子たちも3歳くらいで、まだまだ小さいのですが、ちゃんと手助けしたり見守っていました。そんな様子は本当にかわいらしかったです」と、園長の森本まさみ(もりもと・まさみ)氏。
園児らが苗を育てている様子を見た近隣住人らも活動の趣旨に賛同し、ひまわりの苗と一緒に販売するようにと、マリーゴールド、大葉やクリスマスローズなどの苗を持ち寄り、日を追うごと多くの苗が集まってきた。
売上金額「2万5450円」に園児たちから大歓声
いよいよ6月21日、降園開始時間の14時からチャリティーバザーをスタートし、園児らが保護者にそれぞれの苗を説明、販売。通常はもっと遅い時間にお迎えにくる家庭の保護者も有給休暇をとって参加したり、スーツ姿で汗をかいて駆けつけたり。卒園児も小学校の放課後に1苗分の150円を手に握りしめて「ウクライナのひまわりください」と、買いに来るなどしてくれたという。
保護者からは「園生活での思い出に大切に苗を育ていきたい」と好評。園児らも保護者が喜ぶ様子をみて、自己肯定感を高める良い機会となった。
集まった売上金のまとめも園児たちが担当。計算は教諭が行い合計金額「2万5410円」を発表すると、園児らからは大きな歓声が上がった。
子どもたちの活動に日本赤十字社職員らも感激
寄付は日本赤十字社を通じて行うことにしたが、その際も日本赤十字社「ウクライナ人道危機救援金」サイト内の支援活動の様子を園児たちに見せ、自分たちの活動がどのように支援につながっていくのか、はっきりとわかるように示した。
「寄付金を銀行に振り込みに行く際、子どもたちに『行ってくるよ!』と声をかけると、みんなハイタッチで送り出してくれました」(森本まさみ氏)
また、園児らの活動内容と送金の報告を日本赤十字社へ伝えると、担当者からは「各担当部署(国際、救護、医療、ボランティアなど)をはじめとする弊社職員のパワーにつながります、本当にありがとうございます」との連絡があり、この内容を園児らに説明すると、さらに大きな歓声があがった。
この活動をきっかけに世界に向けられる人に成長を!
この活動を通じ、園長の森本まさみ氏は次のように語る。
「今回の悲しいできごとに、大丈夫だよという一言だけでは、まだ幼い子どもたちの漠然とした不安を解消するには十分でないように感じました。種から苗を育ていく作業を通して主体性を身につけ、その結果すべての園児らが、たとえ小さな手でも自分自身で動かせば世界とつながれる自信をもてたことが大きな成果です。これをきっかけに世界に目を向けられる人に育ってほしいと願っています。
避難しているウクライナの母親がインタビューで、『この子たちは祖国の未来だから祖国を離れてもしっかりした教育をつけさせることが私の務めです』と力強く話している姿が心から離れません。私たちも教育の力を信じてこれからも運営を続けていきたいと心新たにしています」
(取材・文/大友康子)