国際高等専門学校(International College of Technology, Kanazawa 以下、国際高専)が、『2023年度入学案内(日本語版)』を公開しました。
この入学案内のなかから、国際高専での学びを紹介します。
大学受験を意識することなく、15歳から英語でAIやロボティクス等の先進分野に触れる
国際高専の特徴は、高校から大学院まで9年間の一貫教育を行う新しい教育プログラムにあります。
日本では一般的に、中学校を卒業後、高校で3年間学び、受験などを経て大学へと進学。学部教育修了後に大学院に進学します。これに対し、国際高専に入学した学生は、同校で1年生から専門分野を英語で学び、卒業後は金沢工業大学3年次に編入。大学院修士課程まで4年間かけてプロジェクト研究に取り組みます。
国際高専の教育が目指すのは、Society 5.0で活躍できるグローバルイノベーターの育成です。Society 5.0とは、コンピューターやネットワークなどによって構築されたサイバー空間(仮想空間)と現実空間が高度に融合した新たな人間中心の社会を意味します。
国際高専のカリキュラムでは、『エンジニアリングデザイン教育』を重視しています。
『エンジニアリングデザイン教育』では、学校が予め用意したレールに沿って学ぶのではなく、学生たち自身が問題を発見し、アイデアをカタチにしながらよりよい解決策を考えていきます。
エンジニアリングデザインについて、国際理工学科長の松下臣仁教授は、こんなふうに語っています。
「テクノロジーやデザインを活用しながら、モノ・コト作りを通して新たな価値を生み出すワクワク感が体験できる授業です」。
つまり、中学校を卒業した15歳の時点から、大学受験を意識することなく、AIやロボティクスといった先端技術に関わる分野を英語で学び、自分の興味や関心をカタチにすることができるのです。
実際、学生たちは独自のアイデアと探求心でさまざまな活動に取り組み、なかにはCADソフトの学生アイデアコンテストで特賞を受賞した学生や、電気学会の学生研究発表会で最優秀賞を受賞した学生もいます。
SDGsを意識したエンジニアリングデザインの学びと英語で行うSTEM教育
1、2年生は白山麓キャンパスにある全寮制のスクールで学びます。
カリキュラムの大きな特徴は、英語で行う『STEM教育』です。STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の横断的分野のことをさします。この教育のもとで学生たちが学ぶ内容は世界共通といえますが、日本の教育機関では日本語で教えるのが一般的です。
とはいえ、科学分野や専門技術に関わる研究の世界では、英語で論文を書いたり、情報をやりとりするがスタンダード。国際高専では、英語でSTEM教育を行うことで、将来、グローバルに活躍できる人材育成を目指しています』
カリキュラムのコアである『エンジニアリングデザイン』では、SDGsの17の目標をふまえて、サイエンスとテクノロジー、ビジネスマネジメントなどの知識を応用し、キャンパスのある白山麓地域で実際に起きている課題に取り組んでいます。
3年生全員が1年間ニュージーランドで学ぶ
3年生は全員、ニュージーランドの国立オタゴポリテクニクで1年間学びます。
ポリテクニクは実社会で必要とされる知識や技術の修得を目的とした高等教育機関のこと。オタゴポリテクニクでは、ニュージーランドでの生活や授業で必要な英語スキルを身に付ける「ファンクショナルイングリッシュ」や技術英語を学ぶ「テクニカルイングリッシュ」で英語力を向上させます。また、3DCADや電気工作、数理、レゴプロジェクトなどに取り組む「工学基礎実技」や「エンジニアリングデザイン」といった科目を学びます。
専門科目は「数理工学」を必修とし、このほか、「コンピュータスキルズ」「プログラミング基礎」「電気基礎」「工業力学」「材料科学」から2科目を選択して学びます。さらに企業でのインターンシップやプロジェクト活動などのプログラムを受講することができます。
大学の教員や大学生、研究者たちが集まるラボで先進研究を体験
4、5年生の学びの場は、併設校である金沢工業大学と共有する金沢キャンパスです。
金沢キャンパスでは、プログラミングや、AI、IoT、データサイエンス、ロボティクスに関する様々な専門科目が開講されているため、国際高専の学生は、自分の興味や関心に合わせて専門的な学びを進めることができます。
『クラスター研究室』では、大学の教員の指導のもと、大学4年生や大学院生とともに研究活動を行います。この研究室の拠点となるChallenge Labは、大学の研究室が集まり、新しい技術な技術開発に取り組むために開設された場。学生たちが考えたさまざまなアイデアや AIの技術、研究所の知識を分野横断的に結び付け、これからの社会に役立つ新技術や価値の創出を目指します。
Challenge Labには、大学生や大学教員のほか、地域や企業の共同研究者も集まるので、高専生の段階から、先進研究の現場を体験できます。
また、金沢工業大学国際教養理工学環で開講されている英語での専門科目を受講できるのも、国際高専生ならではの大きなメリットといえるでしょう。
大学3年次に編入し、英語主体の授業で豊富な知識やスキルを修得
国際高専卒業後は、金沢工業大学3年次に編入し、学部3、4年次は国際教養理工学環で学びます。
国際高専(ICT)と金沢工業大学(KIT)は『KIT/ ICTスクールシステム』を構築しており、国際高専卒業後も、一貫した学びや研究活動を進めることができます。
国際教養理工学環では、金沢工業大学の全学部・学科からの希望学生とともに学びます。STEAM教育 を主軸とするカリキュラムのもと、授業は主に英語で開講され、豊富な教養と理工学のさまざまな知識やスキルを身に付けることができます。
国際教養理工学環には、さまざまな世代や専門分野を背景に持つ多様な学生や教員が集まり、チームによる課題解決と社会実装を目指した研究を行っています。また、企業での就業体験プログラムや国際プロジェクトなどへの参加を通して、実社会や研究分野で必要とされる専門知識や実践力を身に付けることができます。
大学院ではアメリカの工科大学とデュアルディグリー取得も可能
学部課程修了後は金沢工業大学大学院に進学し、学生たちは各分野で専門的な研究活動を行います。
情報工学専攻には、博士前期課程の学生が金沢工業大学とアメリカのロチェスター工科大学の両大学院で学び、修了要件を満たすことで、最短2年間で両大学の修士号が取得できる「デュアルディグリープログラム」を設置しています。
『2023年度学校案内』ではこの他に、1、2年生が過ごす白山麓キャンパスでの多彩な学びや寮生活、教員からのメッセージ(動画QRコード付き)、3年生が留学するニュージーランド・オタゴポリテクニク、4、5年生が学ぶ金沢キャンパス、国際高専卒業後に編入する金沢工業大学「国際教養理工学環」の概要などについて、詳しく紹介しています。
グローバル社会で英語とテクノロジーを駆使して人に役立つことをしたいという中学生は、国際高専でチャレンジしてみませんか。
『国際高専入学案内2023』冊子版(英語版との合冊)は8月中に完成予定です。
ご希望の方はこちらの資料請求ページにてお申し込みください。
【学校へのお問合せ】
国際高等専門学校
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国際高専入試センター
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