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現大学1年生の7割は第1志望校に入学(前編)

高校生の進路選択調査

株式会社リクルート(東京都千代田区)が運営する調査研究機関『リクルート進学総研』は、高校生の進路選択の時期やそのプロセスを調査するため、今年3~4月にかけて、大学入学間近の高校3年生に調査を実施した。

それによると、進学先が第1志望だった割合は2019年の同じ調査から14.8ポイント増加し68.3%、約7割だった。
 
コロナ禍前の2016年や2019年の大学進学者と、高校1年の終わりからコロナ禍に見舞われた2022年大学進学者(今回の調査対象)との比較もなかなか興味深いので、詳しくみていこう。 

【高校生の進路選択に関する調査「進学センサス2022」調査概要】

調査目的 高校生の進路選択プロセス(行動・意識)の現状を把握する
調査期間 2022年3月4日~4月5日 投函・インターネット回答締め切り
調査方法 郵送調査+インターネット調査
調査対象 調査開始時点で2022年に高校を卒業見込みの日本全国の男女21万人
有効回答数 1万4968人(回答率7.1%) うち、大学進学者1万841人が対象

コロナの影響でオープンキャンパス参加が大きく減少

まずは大学の資料請求と出願校の数について、2019年と比較しながら見ていこう。2022年大学進学者の資料請求数は2019年から1.32件増の6.97件だが、出願校数の平均は0.32件減の2.72件だった。

また、学校主催のオープンキャンパスへの参加は、コロナの影響により大きく減少。高校3年間のトータルで、参加経験は79.7%にとどまった。2019年大学進学者のオープンキャンパス参加経験は3年間で93.9%なので、14.2ポイント減少した。2022年進学者は延べ参加校数も2019年より約1校減となり、コロナ禍では、以前に活用されていた「オープンキャンパスでの情報収集」が十分にできなかった様子がうかがえた。

オープンキャンパス参加時に6割が第1志望決定

3年間トータルのオープンキャンパス参加自体は減少しているのだが、進学を決めた大学のオープンキャンパスに参加したかどうかを問うと、参加率は前回比4.3ポイント増の71.2%だった。また、参加時点でその大学が第1志望だった割合も59.8%と増加傾向に。志望校の絞り込みが早期化している現況が見られた。

「総合型・学校推薦型選抜」で入学が大幅増加

次に、進学する大学の志望順位と入試方法についてを見てみよう。

第1志望校への進学者は68.3%で、前回より14.8ポイントと大幅に増加。入試方法別でみると、特に「総合型・学校推薦型選抜」で合格した者の第1志望率が86.6%と非常に高くなっている。

「総合型・学校推薦型選抜」での合格は、高3の秋から年内など早めに決まることが多い。そのため、年内に合格した進学者数(年内入試)は前回より7.9ポイント増え47%。逆に、高3の1月以降、つまり年明けに実施された入試による進学者数(年明け入試)は9.8ポイント減り47.1%。年内入試合格者と年明け入試の合格者がほぼ同率となった。

“合格しやすい”受験環境が第1志望校割合を押し上げ

調査結果から明らかになった「受験校絞り込みの早期化」や「第1志望校への進学の増加」について、リクルート進学総研・所長の小林浩(こばやし・ひろし)氏は次のように解説する。

「早期に受験校を絞り込む、かつ受験時期の年内シフト加速の動きにより、出願校数は減少しており、複数校を受験する高校生が減少傾向にあります。18歳人口減少と大学定員の増加により、2021年では私立大学の46.4%が定員割れ、定員充足率は99.8%という状況(日本私立学校振興・共済事業団調べ)。そのため、入学者獲得のため年内入試の合格者を増やしており、一般入試を含めた志願倍率は低下しています。よって、総合型選抜や学校推薦型選抜などへのシフトに加え、“合格しやすい”受験環境となっていることも、第1志望校割合を押し上げている要因と考えられます」

明日は「進学先検討時の重要項目」を見てみよう。

(取材・文/大友康子)