高等学校の帰国生入試の合格者3名とそれぞれの保護者が合格までの道のりを詳しくご報告。あわせて、塾に教わった帰国生入試の最新事情もお届けします。
私立校の編入試験に合格したケース
Kさんとご両親紹介
イラン・テヘランに2年3ヵ月滞在。本人は高1の4月からインターナショナルスクールに通い、高3の7月に帰国。帰国は半年前に決まり、そこから急遽、学校探しをして編入試験を受けた。
滞在国の政情不安で緊急帰国! 高3夏の編入学に向けて行き場探しに奔走したKさんとご両親。
ねらい|どんな学校でも編入学できたら万々歳
情勢緊迫により滞在国から予定より早く出なければならなくなり、急な帰国決定に。重要なのはとにかく「行き場を探すこと」。「こんな学校生活を送りたい」とまでは考えられず。
戦略|通いたい学校に状況を率直に伝える
帰国はまだ先と思い、日本の勉強をしていなかったため、編入試験は帰国生枠1本。入れそうな学校を見つけたら率直に「突然の帰国で、編入学を望めるのは御校のみ」という事情を伝える。
進捗管理
高1 4月 |
イランのインターに通い始める |
---|---|
高1 春 |
オンライン家庭教師に英語や小論文を習う |
高2 春 |
TOEIC®の試験をドバイに受けに行く |
高2 1月 |
緊急事態 イラン情勢緊迫により半年後の帰国が決まる |
高2 1月 |
対応1 受け入れてくれそうな学校を見つける |
中3 秋 |
対応2 編入試験に備えて準備スタート |
高2 3月 |
編入試験を受けて無事合格 |
高3 7月 |
日本に帰国した後、即、編入学! |
半年後の帰国に焦りつつも編入学先探しに集中
日本の高1にあたる学年からイランのインターに通ったKさん。放課後にオンラインで日本の家庭教師による授業(英語、小論文)を受けたり、あるときはドバイへTOEICRの試験を受けに行ったりと、忙しくも楽しく生活していたが、高2にあたる学年の1月に、思いがけず日本帰国が決まる。
「当初は『インターを卒業してから日本の大学へ』という青写真を描いていましたが、情勢緊迫により半年後の帰国辞令が。そこで『とにかく行き場を探そう』と思いました。イランでは通信制限があるためインターネットのできる時間は貴重なのですが、それをフルに使って編入学先を探しました。日本の受験勉強をしていなかったので、最初から帰国生入試で考えました」(Kさん母)
編入試験前の面談では状況を隠さず正直に伝えた
帰国時期は高3の7月。そのタイミングでの編入学となると、該当するのは通える範囲で1校のみだった。
でもそこが帰国生をよく理解して支えてくれる学校だとわかり、すぐに英語、作文、面接の準備開始。家庭教師の先生と私たち親でサポートして、短期決戦的に動きました」(Kさん母)
同時期、その学校との面談日を設定。
「学校との面談で私は『編入学を望めるのは御校のみ』、さらに『息子は英語力も決して高くない』と正直に伝えました。編入後に英語力で周囲にいい影響を与えるのは難しいと思いましたし、むしろ英語力をサポートしてもらえたらと考えたからです」(Kさん母)
そして3月、編入試験本番を迎えた。
「英語は難しい問題も勢いで解きました。作文と面接はシミュレーションしてきたことを辿って乗り切りました。不合格なら高校浪人…合格できて、気持ちがラクになりました!」(Kさん)
考察1|終わった今思う、これが失敗!
【情報収集】
「運よくいい学校に巡り合えたのでよかったですが…。『突然の帰国もありえる』ということを現実的に考えて、もう少し前から帰国生枠で編入学できる学校の情報を集めたり、一時帰国の際に学校見学をしたりしておけば、焦らずに済んだように思います」(Kさん母)
考察2|終わった今思う、これが成功!
【正直さ】
「息子が編入学を望める学校は1校しかなく、そこに合格できなかったら行く学校がなくなるという状況でした。だからあえて学校にそのことを正直に話し、慈悲をかけていただく形で合格できました。編入学後は温かく向き合っていただき、ありがたい限り」(Kさん母)
賛辞/保護者から子どもへ
いつも本音を伝えてくれたから、あなたをよく理解できました。これからも自分の感じることを一番大切に、人生の選択を続けてね。
謝辞/子どもから保護者へ
編入試験のすべてを手取り足取りで手伝ってもらったので、すごく感謝しています。この場を借りてお礼を。本当にありがとう!
◆専門家の所見
「高3での編入学は、受け入れ可能な学校の数が限られるため、できれば避けていただきたいですが、やむを得ない場合があることも事実です。Kさんのケースでよかった点は、編入先候補となる学校とコミュニケーションをしっかりとったこと。編入試験の情報はとても少ないため、保護者様が直接学校に問い合わせて得られる情報が重要です」(EDUBAL)
お話を伺った塾
海外子女向けオンライン家庭教師EDUBAL
海外に住む小中高生を対象にIBなどのインター補習や帰国生受験対策をオンラインで行う。教師は全員帰国子女で現役難関大生。
※…「専門家の所見」でコメントした塾に、このケースのお子さんが通ったということではありません。家庭教師の場合も同様です。
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