多くの地域でまん延防止等重点措置が採られる中で行われた2022年度の中学入試。受験者側では早めの日程の試験を受ける児童が増え、学校側では入試日を早めたり一次試験の合格者数を増やしたりする動きがありました。双方で早めに決着をつけようという意識が働いたようです。
~首都圏エリア|東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県~
首都圏入試は都内中心に増加
首都圏入試が増加している背景には、受験生の保護者自身が中学受験を経験した世代であることと、大学入試改革への漠然とした不安から大学附属校が人気となったことが挙げられる。さらにコロナ禍以降は、緊急時における公私間の取り組みの違いがより鮮明になり、我が子の学習環境を考えて、変化に敏感な私学に期待する声が高まったことが挙げられる。
手堅い2年目のコロナ禍入試
コロナ禍2年目で行われた2022年の首都圏中学入試は、新型のオミクロン株が驚異的な速さで感染拡大する中で実施(2月1日)。入試を目前に控えた1月には、急遽面接を中止し、追加試験の実施を発表する学校も出てきた。結果、受験生は例年より手堅い受験を余儀なくされた。また中堅校では高めの手続き率を想定して合格者数を絞るなど、堅実な動きが見られた。
明暗分かれた埼玉・千葉入試
昨年を上回る勢いとなった埼玉入試。初日にあたる1月10日は多くの児童が受験。今年も感染対策を徹底した栄東は、全入試回で計12,209名の大規模入試に。大宮開成は過去最多の出願数に。また、算数特待入試を新設した開智が人気となった。1月の後半日程にあたる千葉入試は、感染の影響から出願数が伸び悩んだが、渋谷教育学園幕張は変わらない人気を博した。
男女難関校で合格者数が増加
難関校は初回合格発表の数の多さが目立った。開成の416名、慶應義塾普通部の205名、雙葉の121名、豊島岡女子学園の414名など、入試を長引かせまいとする学校側の配慮があったかと思うほど。結果、チャレンジ受験が多かった男子では2月11日の統一招集日を待たずとも繰上合格が起こり、安全志向だった女子は手堅い入試となって、大きな繰上合格は起こらなかった。
男子は午後入試を有効に活用
男子では、日本大学系列にあって唯一の男子校である日本大学豊山、前年のクラス増加であらかじめ難化が予想されていた獨協など、午後に入試日程を構えた学校が人気を博した。難関校をチャレンジする受験生の間では、東京都市大学付属をはじめ、算数入試を実施した巣鴨、世田谷学園、鎌倉学園に多くの受験生が集まった。
前半合格を狙った女子受験生
手堅い受験傾向の女子では、入試前半戦の合格確保を多くが狙った。そのこともあり、2年連続で600名を超える出願数だった鷗友学園女子や、昨年から2回入試となった吉祥女子は、いずれも1次入試で2.8倍の高倍率。帰国WEB入試がヒットした山脇学園は4.2倍に難化した。また実践女子学園は学校見学会の積極的な開催で支持を得た。
校名変更の国際派共学校人気
今年も多様性や様々な将来の選択肢をイメージさせる共学校が注目された。男女で人気だったのが渋谷教育学園渋谷。昨年一期生が躍進した三田国際学園、開智日本橋学園は新たなコース制で人気。また海外大学の合格者222名を出した広尾学園、同校と同等同質の教育が期待される広尾学園小石川も、国際生入試、国内入試ともに多くの受験生を集めた。
入念な準備をした早期帰国組
長引く国際間の渡航制限などを背景に、昨年のうちに早めに帰国し、帰国生資格を持ちながらしっかり国内向けの受験準備をした受験生も多かった。その一方で、海外にいながらにして日本の学校の入試を受けられるとして、青稜など帰国生へのオンライン入試を実施した学校が人気に。かえつ有明も国際Regular選考としてオンライン入試を行って注目を集めた。
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