1位東北大学、2位東京大学、3位大阪大学・東京工業大学
イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education」(以下THE)は4月28日、大学の社会貢献の取り組みを国連のSDGsの枠組みを使って可視化する「THEインパクトランキング2022」を発表した。それに着目するにあたり、さらにひと月前(3月24日)に発表された「THE世界大学ランキング日本版2022」をまずはチェックしてみよう。
ランキング対象となった273大学のうち、東北大学が3年連続のトップ。東京大学は前年から順位をひとつ上げて2位。大阪大学と東京工業大学が3位タイ。私立大学の中では、前年から順位をひとつ上げた11位の慶應義塾大学がトップだった。
「THE世界大学ランキング2022」20位まで
順位 | 大学名 | |
---|---|---|
本年発表 | 昨年 | |
1 | 1 | 東北大学 |
2 | 3 | 東京大学 |
=3 | 5 | 大阪大学 |
=3 | 2 | 東京工業大学 |
5 | 4 | 京都大学 |
6 | 6 | 北海道大学 |
7 | 8 | 九州大学 |
8 | 7 | 名古屋大学 |
9 | 9 | 筑波大学 |
10 | 10 | 広島大学 |
11 | 12 | 慶應義塾大学 |
12 | 11 | 国際基督教大学 |
13 | 13 | 早稲田大学 |
14 | 15 | 神戸大学 |
15 | 17 | 東京医科歯科大学 |
16 | 16 | 一橋大学 |
17 | 14 | 国際教養大学 |
18 | 24 | 会津大学 |
19 | =18 | 金沢大学 |
20 | =18 | 上智大学 |
「=」:同順位(英語表記のアルファベット順)
「教育力」の東北大、「研究力」の東大
「世界大学ランキング日本版」は、THEが2017年から発表しているランキングで、大学の「教育力」に焦点が当てられている。教育環境や学びの質、成長性に注目し、「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」にわたる4分野16項目を指標として、ランキングを作成。2019年からは「学生調査」も導入。教育の受け手である在学生の「声」もランキングに反映されている。
ちなみに「研究力」に焦点を当て、世界の大学を対象とした「THE世界大学ランキング2022」(2021年9月2日発表)では、東京大学が国内トップで、総合35位。国内2位は京都大学で、総合61位。国内3位は東北大学で、総合201-250位だった。
THEチーフ・ナレッジ・オフィサー「日本の大学は安定」
「世界大学ランキング日本版2022」の発表に際し、THEチーフ・ナレッジ・オフィサーのPhil Baty(フィル・ベイティ)氏は次のようにコメントを寄せた。
「日本の大学は、THE の主要な国際ランキングに非常に積極的に参加していますが(実際、日本は THE世界大学ランキング と THEインパクトランキング の両方で、世界で2 番目にランクイン大学が多い国です)、この日本独自のランキングでは、他の国にはない独自のデータセットを用い、従来の国際ランキングよりも幅広い指標にて、日本の高等教育の質をより深く詳しく検証します。
THE世界大学ランキング日本版は、日本の優先順位に基づき、学生自身の意見も交えて比較したもので、国内外から日本で教育を受けようとするすべての学生にとって素晴らしいリソースとなるだけでなく、大学の経営者や政策立案者にとって確固たるベンチマークと意思決定のツールになるといえます。
日本の大学にとって非常に困難なこの時期に、3年連続でランキングトップの座を維持した東北大学は称賛に価します。このような一貫した卓越性の実証は、歓迎されるべきことです。
また、東京大学が1つ順位を上げて2位の座を獲得したことが注目されますが、世界的なパンデミックによって社会に大きな混乱が生じたにもかかわらず、全般的にランキング上位層が概ね安定しているのも喜ばしいことです。この安定性は、日本の一流大学の回復力と不屈の精神の証です」
【原文】
“Although Japanese universities are very well represented in Times Higher Education’s flagship global rankings (indeed Japan is the second best represented nation in both the THE World University Rankings and the THE Impact Rankings) this bespoke national ranking for Japan allows for a deeper and richer look into the quality of higher education in the country, drawing on some unique data sets that is not available or properly comparable with other countries and covering a wider range of metrics than traditional international rankings.
“The Japan University Rankings (JUR) offer a set of comparisons based on Japanese priorities, and include the views of Japanese students themselves, and offer a wonderful resource for all students seeking their education in Japan, from home or overseas, as well as a providing a robust benchmarking and decision-making tool for university managers and policymakers.
“Tohoku University must be commended for retaining its place at the top of the rankings now for three successive years – particularly during a very challenging time for universities in Japan. This consistent demonstration of excellence is to be welcomed.
“I’m also pleased to see that while it is notable that University of Tokyo has moved up to secure second place, in general, the top of the ranking table has remained largely stable despite the global pandemic causing severe disruption to society. This stability is testament to the resilience and fortitude of Japan’s leading universities.”
(取材・文/大友康子)