前編では、「ひまわり教育研究センター」(大阪府大阪市)が現役東大生220人を対象に行った「子どもの過ごし方」に関するアンケート調査の中から、「小学生の頃、親から勉強しなさいと言われたのは1日何回くらいあったか?」という質問への回答結果を見た。「時々言われた」を含むと全体の64%が親から「勉強しなさい」と言われていた、という結果であった。
とはいえ、「『勉強しなさい』と親に言われたからやった」という状態のままで合格できるほど、東大は甘くないはず。どこかの地点で自ら勉強することを選択したはずだ。そこで本日は、アンケート内の別の問い「なぜ勉強をしたいと思ったのか?」への回答結果を見ていこう。
東大生は小学生時代、なぜ勉強したいと思った?
まずは小学生時代での問い、「小学生のころ、あなたはなぜ勉強したいと思ったのですか?」という問いについて。一番多かったのは「いい成績をとるのが楽しかったから」28.6%という回答。ついで「勉強が楽しかったから」20%、「新しいことを学ぶのが楽しかったから」19.6%、「親が上手に勉強させてくれたから」18.2%、「親に褒められたかったから」18.2%、「惰性(なんとなく)」18.2%という回答が多く寄せられた。
小学生時代の東大生たちは、テストの結果や両親が上手に勉強を促してくれたり褒められたこと、新しいことを学ぶ楽しみが勉強をしたいと思う理由になっていたことがわかった。
東大生は中高生時代、なぜ勉強したいと思った?
次に、もう少し大人になった「中学、高校時代、あなたはなぜ勉強したいと思ったのですか?」という質問をしたところ、一番多かったのは、「いい成績がとりたかったから」25%。次に多い回答は「行きたい大学があったから」24.6%、「惰性(なんとなく)」22.7%だった。
勉強をしたいと思った理由のトップは、小学生の頃と同じく「いい成績をとりたい」からだが、中高生時代は「行きたい大学があったから」という回答もトップに迫っているのが特徴的だ。中高生になると、将来の目標が勉強への大きな動機付けになったようだ。
勉強が入浴や歯磨きと同レベルに習慣化するのが理想
またこの年代では、勉強したいという理由に「惰性(なんとなく)」という回答も増えている。この「惰性」という回答について、ひまわり教育研究センターの所長・上田尚子(うえだ・なおこ)氏は次のように述べる。
「『惰性で勉強する』というのは、ともすると意欲がなさそうに感じられるかもしれませんが、実はとても大事な感覚だと考えられます。すでに勉強が日常生活の入浴や歯磨きなどと同じレベルに『毎日やるべきこと』と習慣化されていることと、『ストレスなく勉強ができること』を意味しています」
親は上手に声かけして勉強を促して
アンケート結果から、上田氏は「子どもが勉強するようになる」ために親がすべきことのヒントがあると推測する。
「『我が子に勉強を好きになってほしい』ということは、多くの親御さんが願うことでしょう。しかし、本アンケートからは、たとえ勉強が好きでなくても、いい点数をとることができ、勉強は嫌だという強い感情がなければ、子どもたちは勉強をし続けてくれるということが判明しました。
そのため保護者が意識すべきことは、上手に声かけをして勉強を促し、うまく褒めて、新しいことを学ぶ楽しみや喜びを感じさせてやる気を育てる“勉強させ上手な親”になることではないでしょうか 」
(取材・文/大友康子)