「良質な本を読めるのがうれしい」と海外保護者
「海外にいると日本の絵本や児童書を入手するのが難しい」という声をよく聞くが、最近は電子書籍の普及により、紙の本ではないにしろ、日本の本もだいぶ読みやすい環境になってきた。そんな電子書籍サービスの中でも、子ども向けの本に特化した「学研図書ライブラリー」が海外でも人気だ。
「学研図書ライブラリー」は、学研プラスが運営し、学研グループから出版された1,000冊以上の電子書籍を月額550円(税込み)で読めるサブスクリプションサービスで、絵本、読み物、図鑑、学習まんがなどが揃っている。海外では、アメリカ、ドイツ、ベトナム、オーストラリア、中国などの日本人学校や現地団体に採用されている。
「今回、38の学校や法人を通じて約3,500名の海外の子どもたちにサービスの提供を行いました。学研プラスから学校団体を通じて子どもたちのご家庭へという体系で、IDとパスワードを提供しています。年齢層は、小学生の低学年~中学生です。それとは別に、サイトから直接お申し込みいただく個人利用者も毎月200名ほどいますが、こちらは日本国内の利用者が多いものの、海外からもご利用いただいております」と、株式会社学研プラス コンテンツプロデュース部 デジタル出版事業室 酒井政輝(さかい・まさき)氏は話す。
海外の個人利用者の保護者からは、
- 「日本の本はなかなか手に入らないのでうれしいサービスでした」(オーストラリア在住・保護者)
- 「コロナ全盛期で学校を休まなければいけない時期があったので、このサービスをもっと早く知ることができたらよかったなと思います」(オーストラリア在住・保護者)
- 「子ども向けの良質な本を読めるのが何よりうれしい」(ギリシャ在住・保護者)
- 「低学年の娘がちょうど料理に興味を持ちはじめていて、マンガでレシピの紹介をする本をとても気に入っていました」(ラオス在住・保護者)
などの感想が届いているという。
日本にいる人と海外在住者では人気の本が違う?
たくさんの本があって何を読もうか迷う、というときには、サイトのトップぺージにある「あたらしくはいしんされた本」「先週みんながよく読んだ本 トップ10」といったコーナーから選んでみるのもよさそうだ。この人気本の傾向は日本と海外で同じなのかどうか気になるところだが、これについて、酒井氏が興味深い話を教えてくれた。
「現在、日本・海外を問わず人気が高いのは、『はくねつ!モンスターバトル』『幻獣(モンスター)最強王図鑑』『もしものときのサバイバル術』などです。逆に日本と海外で差が出たのはスポーツ系の本で、日本だと『うまくなる水泳』『うまくなる卓球』『うまくなる少年サッカー』の順によく読まれていますが、海外だと『うまくなる卓球』『うまくなるテニス』『うまくなるミニバスケットボール』の順によく読まれていました。海外は日本のように水泳を授業として取り入れているところが少ないそうなので、その辺も影響しているのだと思います」(酒井氏)
「学研図書ライブラリー」は個人利用者向けのサービスだが、2022年4月からは在外教育施設向けに海外子女教育振興財団を通じて「学研スクールライブラリー」の提供も行っている。どちらも学習に役立つ電子書籍1,000冊以上を読むことができ、毎月新刊が追加配信されている。
コロナ禍の影響でまだまだ思うように外出やイベントなどができない中、本を通じて、子どもたちの興味や知的好奇心を少しでも満たすことができればよいと思う。
(取材・文/中山恵子)