3月の就職活動本番を2カ月後に控えた1月1日時点で、2023年卒学生の準備状況はどの程度進んでいるだろうか。就活情報サイト「キャリタス就活」を運営する「株式会社ディスコ」が、キャリタス就活・学生モニターを対象に、就職意識および就職活動の準備状況などを尋ねた。
志望業界1位は「インターネットサービス」
1月1日時点での志望業界の決定状況を尋ねたところ、「明確に決まっている」学生は34.1%に上り、前年同期調査(32.0%)を上回った。このことから、志望業界確定のタイミングが早まっている様子が見て取れる。一方で、「決まっていない」も前年同期を上回り(23.1%→25.5%)、11月後半に実施した前年調査(23.0%)よりも増加した。業界を絞らずに活動を進める層が増えている可能性があるほか、インターンシップなどで企業と接点を持つ中で、志望業界を見直す学生も出てきていると思われる。
さらに、「なんとなく決まっている」の回答も含め、志望業界のある学生に具体的な業界を尋ねたところ(40業界から5つまで選択)、全体で最も多いのは「情報・インターネットサービス」(20.8%)という結果に。2位は「情報処理・ソフトウエア」(19.0%)と、前年に引き続きIT業界に人気が集まっている。3位の「銀行」は文系学生のポイントが高く、特に文系男子の3割超が志望している(31.6%)。なお、理系学生はITのほか製造業が上位に多く見られた。また、理系女子は「医薬品・医療関連・化粧品」が最多となっている。
就職先企業を選ぶ際に重視する点の1位は「将来性がある」
就職先企業を選ぶ際に重視する点を30項目の選択肢の中から5つまで選んでもらい、コロナ禍前の2020年1月調査(2021年卒者)と比較したところ、上位3位までの順位に変化は見られなかった。最も多いのは「将来性がある」(48.6%)、2位は「給与・待遇が良い」(43.3%)で、ともに4割超が選んだ。また3位の「福利厚生が充実している」は、順位こそ落とさなかったものの2年前に比べてややポイントは減少(31.8%→28.8%)。ほかに「業績・財務状況が良い」もポイントを下げた(30.9%→24.5%)。コロナ不況と言われる中で、足元の業績にとらわれない学生もいるのだろう。
一方、「社会貢献度が高い」(23.0%→28.1%)、「希望の勤務地で働ける」(15.6%→22.4%)といった項目はポイントが増加。企業がSDGsへの取り組み状況を情報発信することが増えたり、コロナ禍でワークライフバランスに改めて注目が集まったりしたことなどが背景にありそうだ。
就職先企業選びへの影響度合い、最も高いのは「仕事を通して成長できること」
就職先企業選びに、下記の3つの項目がどの程度影響するかを尋ねたところ、「仕事を通して成長できること」は、過半数の学生が「かなり影響する」と回答(51.2%)。「ある程度影響する」を合わせると9割超(計92.1%)が「影響する」との考えを示した。「柔軟な働き方ができること」も、「かなり影響する」「ある程度影響する」の合計が9割を超える(計90.5%)。前年調査と比較すると、「かなり影響する」が大きく増加した(15ポイント増)。また、「多様性のある職場環境であること」は、3項目の中では一番ポイントが低いものの、「影響する」と回答した学生は7割強に上り(計77.7%)、いずれの項目も企業を選ぶ上で重要な指標と捉えていることが分かる。
次回の記事では、インターンシップ等の参加状況や1月1日時点の内定状況などをお伝えする。
(取材・文/松井さおり)