保護者世代は経験のない“インターンシップ”とは?
保護者の時代とはかなり異なるといわれる昨今の就職活動。今回はその実態を知るべく、イマどきの就職活動に関するアンケート調査を今日・明日とひとつずつ読み解いていこう。
まず本日は、大手総合就職・転職情報会社である株式会社学情(東京都千代田区)が行った「インターンシップ」に関する調査だ。
「インターンシップ」とは、学生が企業で就業体験をすること。1997年に制度として閣議決定されたが、就職氷河期真っただ中だったこともあって採用する企業が少なく、定着したのはここ5年くらいだという。インターンシップは経済界と大学が結んだ就職協定に則り、大学3年生の初夏から冬に参加するのが一般的だ。
インターンシップをする企業選びは「メール」
学生がインターンシップなどの企業選びで活用しているものは「インターンシップ情報サイトからのお知らせメール」が60.6%で最多。次いで、企業から学生に個別で送ることができるメールである「スカウトメール」52.3%だった。「メール」が、「条件を選択しての検索」や「フリーワード検索」を上回る結果となった。
現在の学生の多くはZ世代と呼ばれ、急速にインターネットが普及した1990年代後半から2010年前後に生まれている。デジタルネイティブとされるこの世代は、オンラインでの情報収集や購買に慣れ、自身で検索するよりも「欲しい情報が送られてくること」を望み、「直感」で希望に近いと感じるものを選択したいことが読み取れる。
「自分にスカウトを送ろうと思った理由」の記載は嬉しい
スカウトメールに記載されていると嬉しいポイントは、「自分にスカウトを送ろうと思った理由」が71.8%で最多。次いで、「具体的な仕事内容」61.3%、「参加可能なインターンシップ」56.0%と続いた。
その理由としては、「どのような点を評価されてスカウトされたかが分かると、自身が活躍できるかイメージしやすい」などの声が上がった。
「希望する職種と合っている」インターンシップを重視
プレエントリーしたくなるスカウトメールは、「希望する職種と合っている」が72.2%で最多。次いで、「希望する業界と合っている」67.2%、「気になる企業からのメール」39.7%、「インターンシップの日数が希望と合っている」39.4%が続いた。
ハイブリッド型の情報収集が重要
就活の一端としてインターンシップに参加することが一般的となった昨今だが、コロナ禍でインターンシップはどのように変化してきたのだろうか? 株式会社学情の学校企画部執行役員である大西浩史(おおにし・こうじ)氏に伺った。
「コロナ禍でのインターンシップは、『オンライン』で開催されるものが増加しました。まずは『オンライン』のインターンシップに参加し、さらに興味を持った企業は『リアル』でも参加するなど、志望度の高い企業とは複数回接点を持つ学生が多い傾向です。
2022年卒学生の2割弱は、特に入社を希望する企業は最終選考までに『6回以上』接点を持っていたという当社の調査結果もあります。コロナ禍でのインターンシップは、『オンライン』でまず接点を持ち、『リアル』でより理解を深めるなど、ハイブリッド型で情報収集をしていくことがポイントになっています」
ハイブリッド型のインターンシップ――これから就活を迎える子どもを持つ保護者は心に留めておくといいだろう。明日も、イマどき就活を見てみよう。
(取材・文/大友康子)