「インポスター症候群」とは、自分自身を過小評価してしまう心理状態のこと。勉強や仕事などで良い結果を残せたとしても、「運がよかった」「周りの協力のおかげ」など周りの力が要因の大半で、自身の頑張りを評価しなくなってしまうという。
昨日は、子どもをこの「インポスター症候群」に導くママの行動について、株式会社ヴェリス(東京都渋谷区)が行ったアンケート調査から焦点をあてた。本日は、子どもの自己肯定感を高めるのに有効なママの行動についての質問を見てみよう。以下の問いに「YES」が多いほど、子どもは自己肯定感を高めていくという。
9割以上のママ「存在を大切に思っていると、子どもに伝えている」
「子どもに、存在を大切に思っていることを言葉にして伝えたことはありますか」と質問したところ、「週に数回程度伝えている」が47.5%、「週に1回程度伝えている」が16.5%という回答となった(以下、下記グラフ参照)。「まったく伝えたことがない」という回答は3.9%で、96.1%のママが「大切に思っていると、子ども自身に伝えている」ことになる。
9割のママ「子どもがやりたいことをチャレンジさせている」
「子どもが『やりたい』と言ったことに対し、チャレンジする機会を作っていますか」と質問したところ、「頻繁に作っている」が40.9%、「少し作っている」が48.5%という回答となり、合計89.4%のママが「子どもがやりたいと言ったことをチャレンジさせる機会を作っている」という結果になった。
インポスター症候群についての理解を深めることが大切
調査を行った株式会社ヴィエリスSDGs推進室室長・ 山脇 有希子(やまわき・ゆきこ)氏はアンケート結果について、次のように統括する。
「9割以上のママが『存在を大切に思っていると、子どもに伝えている』という結果は大変貴重な数値でございました。
その反面、アンケート結果にもあるように人と比べて子どもが劣っているように思うことや、他人の評価を気にしてしまう母親の心理状態は自身や子どもを過小評価し、周囲の評価を気にして自信をなくしてしまう症状としてインポスター症候群の傾向にある可能性があります。そして、その行動が子どもをインポスター症候群に導いてしまう可能性もあります。
もうひとつ、インポスター症候群の原因として、幼少期に知らず知らずのうちに刷り込まれてしまう文化的要因があります。それは、女性は女性らしく、目立たず、静かに生きていかなくてはいけないと教えられたことや、男性は男性らしく、泣いてはいけない、かっこ悪い姿を見せてはいけない、女々しいなど、性別的役割の差別を受けてしまうことです。
(取材・文/大友康子)