昨日に続き、就職・転職情報サービスの大手・株式会社学情が行った就職活動に関するインターネットアンケートをチェックしていく。本日は最近よく耳にするようになった「ジョブ型採用」に関する調査の結果に着目。
ジョブ型採用は欧米では一般的な雇用制度で、「担当領域や権限を明確にした採用手法」のこと。これまで中途採用では多く取り入れられていたが、コロナ禍によりテレワークの導入・定着が進んだことにより、新卒採用においても担当業務を明確にしない「メンバーシップ型の総合職採用」を見直し、「ジョブ型採用」の導入を検討する企業が増えている。これについて、今の就活生はどう思っているのだろうか。
ジョブ型採用に好感触の学生多数
再来年(2023年)3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に「ジョブ型採用」に興味があるかどうか聞くと、「興味がある」と回答した学生が34.3%、「どちらかと言えば興味がある」と回答した学生が40.7%となった。合わせると75%の学生が、「ジョブ型採用」に興味を持っていることが分かる。
「ジョブ型採用」に興味をもっている理由は、「どんな仕事をするかが明確だから」が63.6%で最多。次いで、「配属される部署が決まっているから」48.7%、「学んだことやスキルを活かせるから」32.9%と続く。下記のような学生の声をみると、現時点で「希望の仕事」が明確な学生や、「就職後」を見据えている学生が、特に「ジョブ型採用」に興味を持っていると推察される。
「ジョブ型採用」に興味を持っている学生の声
・希望の仕事に就けそう(文系・IT系職種希望)
・希望の職種で入社できるほうが、キャリア形成をしやすいと思う(文系・クリエイティブ系職種希望)
・仕事内容が明確なほうが、ミスマッチがないと思う(理系・技術系職種希望)
・自分の得意分野で仕事ができそう(文系・事務系職種希望)
・入社後の職種や仕事が決まっていたら、早めに社会人になる準備ができると思う(文系・企画系職種希望)
・ジョブ型採用を実施する企業は、変化に柔軟で成長力が高そう。(理系・IT系職種希望)
ジョブ型採用実施企業へのエントリー&インターン希望者も多数
「ジョブ型採用」を実施している企業にエントリーしたいかどうかについては、「エントリーしたい」「どちらかと言えばエントリーしたい」と回答した学生が、71.1%に上った。7割を超える学生が、「ジョブ型採用」で募集している求人に、実際にエントリーしたいと考えていることが分かった。
インターンシップについても、「参加したい」「どちらかと言えば参加したい」と回答した学生は、83.9%に上った。「ジョブ型」のインターンシップを希望する学生からは、「希望している仕事に、自身の適性があるかを確かめたい(文系・企画系職種希望)」「仕事を具体的に経験できると、働くイメージを持ちやすい(文系・クリエイティブ系職種希望)」「実際に体験できると、志望理由も明確になると思う(理系・企画系職種希望)」などの声が寄せられた。実際に仕事を経験することで、仕事理解を深め、実際に希望している仕事で自身が活躍することができそうか確認したいと考えている学生が多いと伺える。
親世代の就活期、基本的には「ジョブ型採用」など影も形もなかったが、我が子の就活の重要な形式のひとつとして着目したい。かくいう筆者も、新卒で出版社に就職した際に「編集部に配属されたい」と熱望した当時を思い起こし、「ジョブ型採用」に心惹かれた。
ジョブ型採用希望生は目的意識強く、働く意欲高い
株式会社学情の営業部門担当執行役員・歌津智義(うたつ・ともよし)氏はジョブ型採用について次のように語る。
「ジョブ型採用は、テレワークで『担当領域』や『目指す成果』を明確にする必要が増していることと連動し、コロナ禍で注目を集めています。また、経団連は雇用形態について、新卒採用でも『ジョブ型採用」を推進するとしており、2023年卒採用では『ジョブ型採用」の導入が加速すると想定されます。
ジョブ型での就職を希望する学生は、希望する『仕事』が明確になっており、『入社後』を見据えて就職活動に取り組んでいる傾向です。企業は、ジョブ型採用を導入することで、目的意識が強く、働く意欲の高い学生や、該当の仕事に適性のある学生を採用しやすくなると言えるでしょう。ジョブ型採用の導入は、企業の成長力や生産性を高めるための手立てのひとつになると考えられます」
(取材・文/大友康子)