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U-21学生研究発表会で最優秀賞を受賞!|国際高等専門学校

<第2回>白山麓キャンパス・レポート
Welcome to Hakusanroku!:2年生3人のプロジェクトがU-21学生研究発表会で最優秀賞を受賞!

国際高等専門学校(International College of Technology, Kanazawa 以下、国際高専)は、英語で学ぶ工学基礎を重視したSTEM教育を行う新しい高等教育機関です。国際高専のウェブサイトでは、キャンパスの今を伝える「白山麓ジャーナル」を英語と日本語で随時配信しています。

この「白山麓ジャーナル」から、トピックスをピックアップして紹介する連載企画。第二回目は、2年生3名が一般社団法人電気学会主催の 「U-21学生研究発表会」で最優秀賞を受賞したというニュースです。

SDGsをテーマに「獣害対策のためのサル認識システム」について発表

電気学会は、電気学術を学ぶ学生から大学や企業で研究活動や技術開発を行う研究者・技術者が所属する学会。「U-21学生研究発表会」は、21歳以下の大学生、高専生、高校生、中学生が日頃の研究や勉強の成果を発表するイベントです。今回のテーマは、「SDGs(持続可能な開発目標)」、「エネルギー問題」、「電気」、「IoT、Society 5.0」、「AIやビッグデータ」、「VRやドローン」、「コロナ禍」の7つで、参加者はこのテーマのうち1つを選んで発表することが要件でした。

2021年3月13日、オンラインで開催されたU-21学生研究発表会では、チームや個人での参加を合わせて52件の発表が行われました。

国際高専2年生の畠中義基さん、杉晃太朗さん、佐藤俊太朗さんの3名(以下、プロジェクトチーム)が発表したのは、「SDGs(持続可能な開発目標)」をテーマにした「獣害対策のためのAIを用いたサル認識システムの開発」についてでした。

キャンパス周辺ではサルによる作物被害が多発。そこから着想したシステム開発

国際高専では身の回りにある課題を発見し、解決するエンジニアリングデザインという授業が教育の中心として行われ、1年生は主に白山麓キャンパス、2年生はキャンパスの周辺地域の課題発見解決を目指します。また、エンジニアリングコンテキストという授業では、SDGsや技術者倫理、エネルギー政策などをテーマに、論理的思考法などを身に付け、発案したプロジェクトに関する企業の模擬経営なども体験します。

畠中さんたちは、2年後学期の「エンジニアリングデザインⅡB」で、白山麓におけるサル被害対策をテーマに取り組みました。きっかけになったのは、学生たちが課外活動の一環として、校舎前の休耕田で栽培していたさつまいもが、野生のサルに奪われてしまったことでした。

こうした野生のサルによる農作物への被害は年々増加しており、全国での被害総額は約10億円にのぼるといわれます。実際、キャンパスがある白山市瀬戸地域でもサルによる農作物の被害が多数確認されています。

獣害対策として、電気柵の設置などが行われていますが、高齢の生産者にとっては費用や設置の負担が大きいため、耕作放棄地が増加し、さらなる獣害を招くという悪循環が生じています。サルを威嚇するツールを使った対策も効果は一時的なので、常時監視が必要となっています。持続可能な農業のためにはこうした害獣対策を見直し、改善する必要がありました。

サルの画像を収集してAIに学習させ、効果検証を繰り返す

Jetson nano

「僕たちは、最終目標を、24時間無人でサルを監視して被害を未然に防ぐ威嚇システムをつくることに決め、第一段階として、監視のために必要となる正確なサルの認識技術の開発を目指しました」と畠中さんは説明します。

この技術が実現すれば、将来的には持続可能な農業の推進や休耕田の再利用、就農人口の復活が可能となり、ひいてはSDGs達成への貢献にもつながります。

プロジェクトチームはまず、機械学習による画像認識を使って、サルを正確に認識する技術を実現しようと考え、ミニ AI コンピューターである「Jetson nano」を用いて画像認識システムを構築することにしました。

「最初は、コロナ禍でフィールドワークが制限されていたので、インターネット上にあるサルの画像を集めて機械学習させていました。でも、それだけではサルの正確な認識には不十分で、サルのさまざまな姿勢やあらゆる角度から撮影した画像が必要でした」と杉さん。

そこで、津幡町にある森林動物園で、AI学習用のサル画像をさまざまな角度から撮影。収集したサルの画像3000枚を機械学習させ精度の向上を図りました。さらに自然環境の中で動き回るサルの認識率を高めるため、白山麓キャンパス周辺の畑にいるサルも撮影し、画像2000枚を機械学習させて効果検証を実施。最終的には信頼度を最大90%まで向上させることに成功しました。

森林動物園

学生研究発表会当日。国際高専のプロジェクトチームは、全国でサルによる農作物被害が深刻化する現状をふまえ、持続可能な農業に向けてAIを用いた獣害対策システムを開発したこと、自分たちでサル画像を収集し、機械学習させた結果、畑で撮影された動画による信頼度評価では信頼度90%を達成したことなどを説明し、デモンストレーションも行いました。

そして、みごと最優秀賞を受賞したのです。

サル画像

プロジェクトチームのチャレンジはこれで終わったわけではありません。「これからは、サルが畑に侵入した時に、畑の所有者のスマートフォンに知らせるシステムをつくることを目指します」と佐藤さん。

2022年度以降は監視範囲の広域化を進めるとともに、ロボットやドローンなどを使った威嚇排除技術を構築。2024年度には隣接農地での実運用を開始する計画です。

メンバーの一人、畠中義基さんの話が直接聴ける! 国際高専オンライン進学説明会

国際高専では6月13日(日)と7月11日(日)にオンライン進学説明会を開催。
チームメンバーの一人、畠中義基さんが6月13日(日)のプログラムで成果発表を行います。
また帰国便利帳2021年4月26日の記事「授業で学んだCADソフトでコンテスト入賞!国際高等専門学校」(https://www.kikoku-benricho.com/ict-3d-design/)で登場した山崎史依さんも、7月11日(日)のプログラムで成果を発表するそうです。
詳しくは「国際高専がわかる!ICTサイト」をご覧ください。
https://www.ict-kanazawa.ac.jp/guide/

サイエンスや数学は世界共通。だからこそ英語で学ぶ

ICT

国際高専は、国内外から幅広く学生が集まるグローバルな環境で、刺激を受け合いながら、共に成長できる教育環境を整えています。授業ではさまざまなサイエンスの知識とテクノロジーを身に付け、さらにそれを応用しながらチームでイノベーション創出を目指します。

教育の柱のひとつとして、英語で行う「STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育」を重視しています。それは、科学や数学が世界共通の真理であるため、これらの分野を英語で学ぶことは、のちに留学して専門分野を探究したり、卒業後グローバルな企業で活躍するのに役立つからです。

1、2年生は、自然豊かな白山麓キャンパスにある全寮制スクールで、英語で数学、理科、情報を学ぶほか、徹底した英語スキルの修得を目指します。3年生は、ニュージーランドの国立オタゴポリテクニクに留学。そして、4、5年生は併設校である金沢工業大学と連携し、分野横断型の研究やプロジェクトに取り組みます。

「国際高等専門学校(5年間))+「金沢工業大学の学部及び大学院(4年間)」の9年一貫教育により、グローバル・イノベーターを育成します。

【学校へのお問合せ】

金沢キャンパス
〒921-8601 石川県金沢市久安2-270
TEL 076-248-1080 FAX 076-248-5548

白山麓キャンパス
〒920-2331 石川県白山市瀬戸辰3-1

国際高専入試センター
Mail:admissions@ict-kanazawa.ac.jp

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