「聞く」「話す」が「読む」「書く」と対等に 英語4技能
「音声」が重視されて今より実用的な教育に
英語4技能とは、日本の学校が今まで重視してきた「読む」「書く」に、「聞く」「話す」の2つの技能を加えたものの総称だ。このキーワードへの注目度が高まった背景には、グローバル化に伴う国の高等教育の改革案として、センター試験に代わる新しい大学入試で英検やTOEIC®などの民間試験を併用する策が2017年に発表されたことがある(2020年3月現在、導入延期)。目的は4技能、特に「聞く」「話す」の2技能の数値化だ。
これを受け、小・中学校と高校の新しい学習指導要領では、発音記号や文法などに終始しがちな従来の授業改革に着手。今までより音声を重視し、「聞く」「話す(やり取り、発表)」を通して英語に親しませ、英語でのコミュニケーションを自らすすんでとる姿勢を育もうとしている。「教室には多くの友だちがいて、それぞれが異なる考え方と英語力を持つ。そんな多様性のある場で4技能を活用すると、英語力に加え、それぞれの違いを認め合いながら交流する力や、新たなアイデアを生み出す力なども育つ」(『中学英語4技能ペア&グループワーク』より抜粋・改編)というわけだ。
帰国子女向けの英語塾・帰国子女アカデミーのチャールズ・エム・カヌーセン氏は、英語4技能の強化を〝受け身からの脱却〟と捉える。
「子どもたちは今後、今までのような暗記力ではなく、より深い思考・分析・表現力を求められるようになります」(カヌーセン氏)
英語4技能学習のここがすごい!
①学習内容の定着率がアップ
学習内容の定着には、複数の身体感覚を同時に使うことが有効とされており、これが英語4技能学習と一致。「聞く」「話す」「読む」「書く」を同時に行うので、学んだことが記憶に残りやすくなる。
②コミュニケーション力の土台作りに
英語4技能を実際のやり取りで身に付けていく過程では、自分の意見を相手に伝える力や、価値観の異なる相手の意見に耳を傾ける力が育っていく。これがコミュニケーション力の土台になる。
③英語力習得の醍醐味を味わえる
「成績や受験のため」という学習の目的に「違う言語を話す人と交流するため」が加わることで、英語を使う喜びや楽しさを味わえる。もっと上達したい、という気持ちが自然と沸くことも。
④思考・分析・表現力、発想力が高まる
英語でコミュニケーションが図れるようになれば、得られる情報量が格段に増え、物事を多角的に捉えられる。すると思考・分析・表現力も強まり、新しいアイデアが生まれやすくもなる。
⑤日本に縛られず世界に羽ばたける
「海外に留学する」「大学で外国人教授が英語で行う授業に参加できる」など、日本(語)に縛られない学びの機会を得られる。社会に出てからも、国内外で進むグローバル化に対応できるように。
お話を伺った方
『帰国子女アカデミー』 完全英語環境の学習塾
チャールズ・エム・カヌーセン氏
帰国子女教育のエキスパートで、帰国生とその家族の多様な悩みにも答え続ける。
参考文献
『中学英語4技能ペア&グループワーク』学陽書房、西林慶武著
公立中学教師の目から見た英語4技能の大切さと、子どもたちにそれを学ばせるアイデアをまとめた1冊。4技能の重なりを利用するワークなど、具体的な活動を数多く掲載している。
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