【お悩みパートA 子どものこと】
なるべく自然に、子どもの苦労や悲しみを減らしてあげたい
語学力、学校生活、現地と日本の勉強の両立、帰国後の進路、帰国に対する葛藤。我が子を苦しめるお悩み5種類の対処法を見ていきましょう。
子どものこと①
語学力が心配。このままだと日本語も英語も中途半端になりそう
現地校やインターナショナルスクール(以下、インター)に通わせていると英語は少しずつ使えるようになるものの、日本語はなかなか上達せず。渡航前に習得していたはずの言葉を忘れてしまうことも多くて…。
バイリンガル研究者
山本雅代氏のことば
勉強を無理やりさせても残るのは徒労感だけです。それよりも普段使いの日本語でワイワイと語り合うことが成果を出す近道!
子どもの関心を引いて日本語力をアップ
「日本語力アップのために音読を頑張る」ということに関して、山本氏は「もしも音読が保護者からの押し付けなら成果は出にくいでしょう」と話す。
「無理に音読をさせると、徒労感だけが残ります。成果を上げたいなら、音読そのものよりもむしろ、親子で教科書のお話について語り合うのがいいと思います。
『日本語を勉強する』よりも『普段使いの日本語で語り合うこと』を意識させる。すると、子どもに自然と日本語が根付いていくはずです」(山本氏)
日本で暮らす子どもにも「中途半端さ」はある
「日本語も英語も中途半端になりそう」という心配に関しては「『何をもって中途半端とするか』を考えてみましょう」と山本氏。
「例えば、ずっと日本で暮らしている日本語話者の子どもでも、社会人になれば社会人としての話し方を身に付けなければなりません。
社会人としての日本語は、社会人になりたての時点では中途半端だからです。帰国生の日本語力や英語力も同じです。
大事なのは、その時々に必要な語学力。親御さんの役目は、中途半端さを心配することではなく『今、必要な語学力』について一緒に考えたり助言したりすることだと思うのです」
お話を伺った方
バイリンガル研究者 山本雅代氏
「芦屋大学」助教授「桃山学院大学」教授を経て、現在は「関西学院大学国際学部」教授。「バイリンガリズム」を研究している。著書に『バイリンガルはどのようにして言語を習得するのか』(明石書店)などがあり、講演・口頭発表には『幼児バイリンガルにおける言語選択』などがある。
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