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大学生の食事は朝夕学食で、100円で万全!?(後編)

昨日は、もう20年以上前から大学の学食で始まっていた「100円朝食」について紹介した。さらに近年は「100円夕食」も登場している。本日は「100円夕食」につて見てみよう。

弘前大学はクラウドファンディングで100円夕食を実現

「100円夕食」も学生の生活リズムや栄養バランスを改善しよう、という目的は朝食と同じであろうし、父母会や同窓会の協力、企業の協賛によるという点も同様だ。

通年実施する大学も多い100円朝食に対し、まだ歴史の浅い100円夕食は期間限定であるケースも多い。定期試験前の時期に実施し、遅くまで大学で勉強している学生の食生活を支えることを目的にしているようだ。

実施校は朝食に比べるとまだ多くはなく、関西大学・神戸学院大学・福岡女学院・静岡大学・東北大学・弘前大学など。

弘前大学はコロナ禍の2020年に「バイトがなくなり困窮する学生に100円で夕食を食べさせたい!」とクラウドファンディングを実施し、2021年・2022年も同様に実施。毎回目標額を大きく上回る支援が全国から寄せられ、100円夕食を実現している。

学生にターゲットを絞った広告の掲示料で100円夕食

そして、筆者が100円朝食・夕食の存在を知るきっかけとなった、株式会社キャンパスサポートの「100円夕食」企画。学食に学生向けの広告を掲示し、その広告料が100円夕食の原資となる。昨日紹介した埼玉大学の100円朝食ほど就活寄りではなく、大学内での企業ブランディングが目的で、広告内容は様々。

映画公開や出版記念などのプロモーション機会にも向いているし、企業名・サービス名を覚えてもらう認知形成もできるし、それにより採用へとつなげていくこともできる。広告を見るのは大学生とターゲットが明確であり、食堂単位で掲載場所を選べるため、「キャンパス」「学部系統」など、狙った学生に絞って効率よく広告を届けられる。

学生のほうも、大学内施設での掲載であることの安心感から、90%以上の学生が広告に好意的なイメージを持つという。

株式会社キャンパスサポートが100円夕食を実施可能な学食は、全国に300カ所以上あるそう。うまくすると「100円夕食」も全国にどんどん広まっていき、日本で一人暮らしをする大学生のお子さんの食生活の心配が不要になりそうだ。

大阪公立大学生協の「100円夕食」時の風景

2023年立命館大学学生の100円朝食利用は14万食弱

昨日紹介したように、立命館大学は「100円朝食」を全国に広めた立役者であるのに加え、キャンパスサポートのサービスを利用し、いち早く「100円夕食」も取り入れている。

立命館大学 校友・父母課 課長の井上拓也(いのうえ・たくや)氏は100円朝食について、次のようにコメントする。

「立命館大学では、100円朝食を『健康で充実した一日を過ごしてほしい』という父母の思いを受け、父母教育後援会の支援のもと、学生の健康と学習習慣の定着を目指して取り組んでいます。そのため、午前8時から午後9時まで、出食数(利用者数)に制限を設けずに食事を提供しています。出食数は、コロナ禍以降増加しており、2021年度は6万5334食、2022年度は10万3526食、2023年度には13万6441食と右肩上がりの推移を見せています。利用促進のため、期間限定メニューを導入するなどの工夫も取り入れています」

2023年に立命館大学の学生が食べた100円朝食はなんと14万食弱。もはや学生生活になくてはならないものになっているようだ。100円夕食も開始され、一人暮らしをさせていても、立命館大学学生の親御さんは子どもの食生活の心配はご無用だ。

(取材・文/大友康子)