元従業員が登場する採用説明会に参加したい学生は8割弱
昨日ご紹介した株式会社ハッカズーク(東京都新宿区)が大学生・大学院生を対象に行った「企業の退職者への関心」調査結果の続きを見ていこう。
「元従業員が登場する採用説明会や採用イベントがあったら参加したいか」を聞くと、8割弱の学生が「参加したい」と回答。
元従業員に聞きたい内容としては「会社の実態を知りたい」「退職理由やその会社に対する正直な評価」など、現在その企業に所属していない、第三者からのリアルな意見を求める声が多数見られた。回答の詳細は下記の通り。
元従業員に聞きたい内容
- その会社(辞めた会社、以下同)に入社する前後でのギャップについて聞きたい
- ライバル会社と比較して、改めてどの点が優れている、劣っているか聞きたい
- その会社で働いてみて思ったことを、素直を話してほしい
- その会社で得たものが退職後どのように生かされているのか
- 退職や転職のきっかけや、その会社で掲げていた自身の目標は実現できたのか
確かにそれらを聞くことができたなら、その企業を理解するうえで非常に参考になるだろう。
約6割の学生が退職者と交流がある企業を「印象が良い」と回答
採用活動のなかで就活生と退職者が出会う場を設けている企業の事例は現在のところ確認できていないものの、採用ページに退職者のキャリアパスを記載する企業も多々出てきている。詳しい事例は株式会社ハッカズークが運営するWEBサイト「アルムナビ」の記事「『退職者の声』の重要性が増している? 事例から考える、採用ブランディングとアルムナイの関係」を参照。
「退職者のキャリアパスを紹介する」ということは、企業と退職者の間に交流があるということ。そこで「元従業員と交流がある企業への印象」を聞くと、6割弱の学生が「印象が良い」と回答。「印象が悪い」と回答した人は1割にも満たなかった。
その印象を持った理由は以下の通り。
印象が良い
- 退職後も交流があるほどその会社が好きなんだと思うため
- ブラック企業だったら元社員との関わりがなさそうだから
- 隠し事がないようなイメージを持てるから
- その会社で働いている社員に対するサポートもしっかりしていそう
- 退職してもその人を応援している感じがするから
- 社員のキャリアの選択の自由を認めていると思うから
特に何も思わない
- 退職者の話よりも今働いている人の話の方が重要だから
- 定年まで勤める気だから
印象が悪い
- 定年まで働けないような環境なのではと思ってしまう
これからの就活は各企業の「アルムナイへのスタンス」も要チェック!
アンケートを行った株式会社ハッカズーク広報責任者の天野夏海(あまの・なつみ)氏は言う。
「『客観的な視点』で『リアルな意見』を話してくれるアルムナイの存在は、求職者が企業を判断する際の有力な判断材料になり得ます。
アルムナイとの関係構築に取り組んでいる日本企業はまだ少数ですが、大手企業を中心に注目は高まりつつあります。アルムナイと企業、アルムナイ同士の取引総額は年間1兆1500億円を超えるという試算も。
終身雇用を前提としていたこれまで、日本企業では『退職者=裏切り者』という考え方が強くありましたが、雇用の流動性が高まるこれからは『退職者=辞めても付き合いを続けていく人』と捉え直す必要があります。今後は『アルムナイへのスタンス』が、求職者が企業選びをする際の一つのポイントになるかもしれません」
(取材・文/大友康子)