教育の準備 基礎知識と海外滞在時から始める準備

vol.1

首都圏

帰国生入試の実態と今後

中学受験のプロフェッショナル『日能研進学情報センター』の方に、首都圏における帰国生入試の現在の様子、さらには今後の展開について分析してもらいました。帰国生にとって追い風となっているようです。


帰国生の受け入れ増加

グローバル化の折、海外在留邦人子女数は、ますます増加しています。それに従い、日本帰国後、お子様の教育環境として私学の中高を選択するご家庭が増え、私学側でも「グローバル人材の育成」、「海外で異文化を経験してきた帰国生と日本国内で育った生徒とがお互いに刺激し合い、認め、高めあう関係が、生徒に好影響をもたらし、学校を活気づかせている」といった観点から、受け入れ態勢を整える動きが活発になっています。
そうした背景もあって、2015年度も、帰国生を対象とした入試機会が増えています。【表1】は、2002年以降に「帰国生入試」を新設した学校をまとめたものです。近年、一般入試と別枠で帰国生入試を設定する学校が増えていることがおわかりいただけるでしょう。また、2015年には、これまで1回だった帰国生入試の回数を、『市川中学校』2回、『文化学園大学杉並中学校』3回のように、増設する動きもあります。
また、関西でも、2014年に『高槻中学校』、『西大和学園中学校』、2015年には『東山中学校』などの学校が、帰国生入試を新設しています。

 
 

変わる帰国生入試

帰国生入試を新規導入する動きだけでなく、すでに導入している学校でも、入試科目・出願資格を見直し、多様な帰国生の事情に対応しようする試みが活発化しています。

 
●入試科目の変化

【表2】は、この5年間の帰国生入試における科目の変更です。大きな傾向としては、まず1つ目に、「英語」を必須科目とせず、選択科目として位置付ける動きがあります。これには、英語圏に限らず非英語圏からの帰国生にも門戸を広げ る学校の意志が垣間見えます。一方で、「新たに英語を加える動き」も見られます。現在、帰国生入試で最も多く採用されているのは「国語・算数」の2科目受験。これに「英語」を必須もしくは選択科目として加えることは、日本と学習内容の異なる国に滞在した生徒への配慮が見られます。
2014年の入試では、『聖光学院中学校』が「国語100点・算数100点・英語50点」から、「国語・算数各100点」または「算数・英語各100点」に変更。『海城中学校』も新たに「C方式(算数・総合・英語)」を追加しました。両校とも、英語力を活かす機会を設けつつも「算数」は必須で、男子進学校ならではの意図が伺えます。
女子校では、『山脇学園中学校』が2014年に「英語」を必須としました。同校は2016年入試で、一般入試でも「英語」で受験できる日程を設けることを表明しており、帰国生に限らず英語力のある生徒が入学してきても対応できる英語教育を充実させたことへの自信をのぞかせています

 
 
●出願資格の見直し

昨今、在留国・地域が多様化し、滞在期間も個人でコントロールできない事情であることから、期間について柔軟に対応しようとする学校も増えています。
『田園調布学園中等部』は、2015年で帰国生入試を新設すると同時に、出願資格を、これまでの「海外の学校在籍通算2年以上で、帰国後2年未満」から「海外の学校在籍通算1年以上で、帰国後3年未満」に変更。より積極的な帰国生募集の姿勢を打ち出しています。他にも2015年には、『学習院女子中等科』、『湘南白百合学園中学校』、『聖園女学院中学校』などで出願資格を緩和する動きがあります。

 

より進む併願の意識

ここ数年で、帰国生の受験スタイルは大きく変化。「帰国生入試(一般入試より早く、11〜1月実施※)」を受験するだけでなく、その後の日程に行われる「一般入試」も併願して受験するスタイルが広く浸透しています。「受験機会が多い」という帰国生のメリットを活かした受験態勢が意識されているといえるでしょう。2015年入試でもこうした併願の意識は高く、秋以降に実施される『日能研』の公開模試の志望校にもその傾向が伺えます。

 

問題内容も変化

近年は「入試問題」も変化しています。「国語」では、長文読解の文章量や記述の文字数が増加。「算数」では、答えだけでなく解答のプロセスを記述する設問が含まれることも多くなりました。「作文」に関しても、「自分の意見を持ち、その理由が説得力を持って述べられているかどうかを大切にしている」と話す採点担当者もいます。

 

教育の変化に注視を

帰国生の受け入れ環境以外にも、日本の教育は激変中です。現在の小6が大学を受験する2021年には、大学入試センター試験に代わって知識偏重を打破する試験が開始予定。また、文部科学省は国際競争力向上のため『グローバルハイスクール』、『スーパーグローバル大学』指定の動きも見せています。多くの学校で改革も推進中です。2015年には『戸板中学校』は『三田国際学園中学校』に、『日本橋女学館中学校』は『開智日本橋学園中学校』に、『京北中学校』は『東洋大学京北中学校』に(いずれも別学から共学)。2016年には『横浜英和女学院中学高等学校』が青山学院大学の系属校となり校名も変更(2018年共学化)。『法政大学第二中学校』も中高同時に共学化します。帰国時までに、アンテナを張り巡らせておきましょう。

 

※…首都圏一般入試のスタートは、埼玉県1/10、千葉県1/20、東京都・神奈川県2/1

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